兄弟姉妹や甥姪が相続人 ⁉
Q 独り身で子供もなく、両親もすでに他界している。そんな一人暮らしの高齢者が亡くなられた場合は誰が財産を相続するのでしょうか。
A 被相続人の財産を相続できる相続人は民法に規定されています。配偶者は常に相続人となり、その他の相続人については第1順位が子(子が死亡している場合はその子が代襲相続人となります)、第2順位が直系尊属(両親・祖父母)、第3順位が兄弟姉妹となっています。
兄弟姉妹が相続人となるケースで、兄弟姉妹がすでに亡くなられている場合は、亡くなられた方のお子さん(被相続人の甥姪)が代襲相続をすることとなります。
亡くなられた方に配偶者やお子さんがなく、ご両親もお亡くなりになっている今回のケースでは、ご兄弟もしくは代襲相続人の甥姪が相続することとなります。
兄弟姉妹や甥姪が相続人となった場合は、被相続人の日頃の生活状況や財産の管理状況をよく知らないこと、相続人の確定に必要な戸籍の収集に手間がかかることなど、通常の相続手続きより時間がかかることは確実です。
疎遠であった兄弟姉妹や代襲相続人である甥姪は、被相続人との関係が希薄であることから、遺産の分割についても意見が異なりトラブルが発生するケースもまま見受けられます。
Q 相続トラブルを防ぎ、亡くなられた方の意思を反映させるには
A 相続トラブルを未然に防ぎ、被相続人の「生前お世話のなった人に自分の財産をあげたい」「社会の役に立つよう寄付をしたい」などの思いを反映させるために遺言を作成することをお勧めします。
遺言の種類
一般的な遺言には①自筆証書遺言と②公正証書遺言があります。
① 自筆証書遺言は、公証人や証人の関与を必要とせず、単独で作成することができる遺言ですが、法律上の要件が備わっていないと無効となってしまいます。
自宅で保管する場合には紛失や破棄のリスクがあります。あるいは死亡後に発見されないといった心配もあります。
また、家庭裁判所での検認手続きが必要となります。
自筆証書遺言について、2020年より法務局で保管してもらう制度がスタートしました。
自筆証書遺言書保管制度のメリットとしては、
・遺言書の紛失や改ざんされる等の恐れがありません。
・遺言者の死亡の事実が確認できた時に、通知対象とした方に遺言書が保管されている旨の通知が届きます。(遺言が発見されないことを防ぐことができる)。
・保管制度を利用した場合には検認の必要はありません。
・財産の価格にかかわらず、保管申請手数料は3,900円です。
② 公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言書を作成してもらうものです。
財産の金額に応じて一定の手数料は発生しますが、遺言が無効とされる可能性はほとんどありません。また、遺言書の原本は公証役場に保管されるので、紛失や偽造の心配もありません。
遺留分
被相続人の財産をどのように処分するかは本人の意思によります。
とはいっても、残された家族の生活保障などのために民法は最低限の財産を相続できるよう規定しています。これを遺留分といいます。
なお、遺留分は兄弟姉妹には認められないため、相続人が兄弟姉妹の場合には、遺言どおり遺産を分配することとなります。
ご自分の意思を遺言により、お世話になった方へ伝えてみてはいかがでしょうか。